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2008年4月22日火曜日

マイ・ブルーベリー・ナイツに仰天だァ!



いやはや、凄い映画があったもんだ。
「マイ・ブルーベリ・ナイツ」、ウォン・カーウァイ監督の初ハリウッド作品です。
これ、前評判、あんまりよくなかったんですよ。おまけに、宣伝コピーが「極上のスィーツのようなラヴストーリー」と来ている。これ、ホントに映画会社が客を呼ぼうと考えたコピーならば、とんでもない勘違い。だって、このコピーのおかげで、思わず「今回、やめとこう」と思った私がいたわけですから。
 いやね、当方、少なからず、リサイタルとか、イベントとか、編集アンド広告をやっている手前、よくもまあ、こういうコピーが考えられたもんだ、と逆に感心するようなオザナリ感さえ感じてしまうのは、この映画が決して「極上の~」で想像されるような、紋切り型の恋愛劇とはまったくもって違う、恋愛なき時代の現代の恋愛の在り方の一断片を描いてたぐいまれな成功を収めているからなのです。
 これ、極上のスイーツというよりも、たとえるならば、酒、でしょう。それも、ボルドーがどうとかのグルメ系じゃなくて、アル中主婦がキッチンに隠していたり、激飲みして意識を失うようなときのボトル一本。まあ、ブルーベリーパイを置いたのは、その反語としての効果かもしれません。LSDのペーパーに、可愛らしい天使の絵やミッキーマウスが印刷されていたりするのと同じということだね。ミッキーだけどトランス、ブルベリーだけど超辛口という。以前の「ブエノスアイレス」も地球の果てまで移動するのに、想いは幽霊のように関係者にへばりついている恋愛という想念の物語でしたが、今回もツカミは同じです。舞台が香港からアメリカに移ったわけだけど、もう、何の問題もなく、説得力ある普遍設定になっています。
 しかしながら、香港ピープルもアメリカ人も、土地と関連なき人々なわけで、かれらの移動と孤独の在り方はもはやお家芸。日本にも漂泊の美学はありますが、たとえば最近で言えば、川上弘美の「真鶴」もそうだけど、恋愛などの人間関係に行くのではなく、自然や異世界に人の興味が行っちゃうんですよね。アチラの遠距離恋愛は、パワーと本気度が違う。
 ブルースという音楽ジャンルがあります。
 失恋や身近な人の死、つたわらない想い、など、人間の「どうしようもないこと」に関して歌われる屈指の表現形態ですが、この作品は、まさにブルースという表現のコンクな塊をそのまま、映像に移し替えたよう。
 これ、凄いことなんですよ。ブルースって歌詞のせいか、B級C級を含め映像化されやすいんですが、この音楽自体が持つ、様々な感情や知性や諦観みたいなものも含め、ブルースというものが持つ凄い深みと沃野をそのまま、映像にカルチャーごと置換し得た作品というのは今まで見たことも、聞いたこともない。もう、オールドスクールとなってしまったブルースですが、それが人間の感情に深くコミットしていた以上、形を変えて表現の俎上に乗ってくるはずなんですが、あんまり、これぴったり来るものを今まで見たことがない。ブルースという音楽について知らない人がいたらり、この映画一本みればいい、ってなぐらい。
 「欲望の翼」でザビア・クガート、ロス・インディオス・タバハラスを使い、「ブエノスアイレス」で仰天のザッパやハッピー・ドゥギャザーを使った世界一耳の良い監督だけのことはある。このような失意を歌ってあまりあるジャンルは、演歌もそうですし、シャンソンもそう。しかし、悲しみの中にも妙に醒めた独立独歩の力強さがあるところがブルースの真骨頂で、そこが見事に、監督がもとから持っている、独特な人間関係感に呼応していると言えます。
 監督的には舞台背景が、香港から舞台をニューヨークに変えたわけですが、「かりそめの地を行き来する他人だからこそ、必然に誓い強度を持つ恋愛」はよりいっそう鮮やかに描かれている。こういう肌合いを見せられると、KYなどどいって同質の空気の中でチンケな色恋沙汰に明け暮れている日本人たるおのれを呪いたくなる場面は多かったですね。実際。
 ノラ・ジョーンズの存在は不思議の国のアリスでもあり、星の王子様でもあります。
 ガラスの覆いをほしがったバラの花はすなわち、女ギャンブラーであり、王子様であるノラは、最後に地球で自分を待っている男の元に帰還するというストーリー。
 ポスタービジュアルで有名な、ノラとジュード・ロウの卍型のキスシーンは、そこに至る状況も含めもの凄く官能的で美しい愛の表現。
 もう、これは、バカラックとか、ポール・マッカートニが造り上げるメロディーのようなもので、こういうことが出来る映画監督を天才と呼ぶのだと思うのです。

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2008年4月16日水曜日

野宮真貴リサイタル、ソーカツなのだ。


 

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上)ハイライトで野宮真貴頭上に輝いた、ブラウンダイヤモンドティアラ。
(中上) ビッチーニの新婚アツアツ寺田嬢と。
(中下)そう、左上に燦然とかがやくドン小西、極太ゴシック。
(中々)白と黒のダンサー美少年、スヌーキーとニック。そして振り付けの横町さんと。
(下)岩谷君と野宮さんは何かトランプの王様と女王様に見える。

一週間前のこの時間のさらに二日前、野宮真貴リサイタルVOL2「エレガンス中毒」は無事、全公演を終えて、打ち上げ会場にてワインと日本酒を飲んでいたのでしたっけ。初めて海外に行ったころ、リヨンのホテルで真夜中ぱっちり目が覚めたり、
の不思議な覚醒や時差ボケのタイムラグにびっくりしたものですが、今や年中そんな感じ。明日にでも、スパイラルに着物着て行っちゃいそうな継続感覚はいったい何なのでしょうか。
 リサイタル最中から意識を「終わった後」に飛ばしていたせいか、たんたんとしかし、山のような積み上げ仕事をやって、おまけに京都に出張に行ってたら、ご報告がこんなに遅くなってしまいました。逆に今ぐらい寝かせると、ちょうどいい記憶の落ち着き具合かもしれません。
 まずは、主人公の野宮真貴さんですが、凄かったですねー。「古くからの友達でしょ」と言われるのですが、実はそうではなくお仕事を始めたのはほんの三、四年前ぐらいから。 あのときふたりで飲むと必ず言っていたリサイタル形式のショウでしたが、こんなに早く形になり、二回目にしてここまで出来たのは、彼女の揺るぎのない意思とクールな推進力に他なりません。今回は何と言っても、ご本人の圧倒的な綺麗さが発揮された舞台でした。「違う生き物だよねぇ」と知り合いのコピーライターが終演後に言ってましたが、まさにその域。ピチカートの時は男性の妄想の果ての女性像だったわけですが、今回は何か、キレイな動物のような、いや、手塚治虫描くところの宇宙人のようなもはや、人類を超えた何かがありましたね。ブラウンダイヤモンドのティアラをかぶっていましたが、あの硬質な輝きも何かSFチックだったし。
 そのたぐいまれな美しさを引き出したのは、それ一筋にすべての表現を統合させていく、演出家の林巻子(ロマンチカ)さんの膂力につきます。「年下の男」のエロスと暴力性は菊地成孔から渡されたバトンを見事に舞台上に花開かせた、秀逸なシーンでした。ブレイクからギターのリフとともに3人の男女が「次なる死のプレイ(ホントかいな)」に突入していくの図、そこから、野宮ソロのドラッグのデス感覚の陶酔にあふれた「麻酔」に続く流れは奇跡とも言える美しさです。そして、今回、林さんのユーモアも所々に光ってましたね。あっ、やっぱり手塚治虫なのかも。鹿女も出てきたり、両性具有っぽかったり。冒頭の爆発の映像は私、そこに「ドカーン」という吹き出しの擬音を見ていたかも。横町慶子さんの振り付けは、ゴーゴー系になると本領発揮。この人にアキバ系の女の子たちの振り付けをやってもらいたい。ぜひ。
 音楽監督の菊地成孔さんは、もう言うまでもありません。
まあ、良い曲多いよね。MCで野宮さんも言ってましたが、「ひとつの歌には様々な表情がある」と。スパンクハッピーのテクスチャーがとりとめもない風なら、今回の野宮歌唱は火や水のパワーを感じさせる巫女的な感じもあった。(巫女でも裸足のそれじゃなくて、ちゃんとハイヒールはいているタイプ)「拝啓 ミスインターナショナル」はもうもう、往年の榊原郁恵に歌わせたいほどのアイドル歌謡ですし、それを思うと菊地さんには妄想バリバリで、つんくや秋元康みたいなアイドルグループをプロデュースしていただきたいものだ。曲はどれも素晴らしいのですが、私、特にエンドロールの打ち込みクラシック(OST「パビリオン山椒魚」に収録)がいいなあー。
 さて、衣装担当の俊英デザイナー、岩谷俊和さん。彼のつくるドレスは私、考えるにフランス料理のデセールなんだと思う。コースのメインがすべて出た後、その印象をすべて消し去り、その空白の中に一発でコース全体の印象をホログラフィーのように立ち上がらせるような強度と独立性。私、この間何の気なしに銀座の「マリアージュフレール」に入ったのですが、そこのチョコレートケーキがまさに岩谷ドレスだった。デセールをパスすることも多い昨今の日本人ですが、フランス本国のデセールはガツンと甘い。甘すぎるほどに甘い。その体力を鑑みるに、彼が今、活動の舞台をパリに移そうとしていることはまったくもって正しいと言えます。岩谷君、話してみると、映画や絵画などのモチーフが根本的に無い人なのですが、グリーナウェイやバズ・ラーマンとかのスキモノビジュアル監督の衣装とかやっても面白いかもしれませんね。
 ダンサーふたりの美少年、ニックとスヌーキーはほとんど顔で選んだと行っても過言ではないのですが、踊りもよかった。何よりも、ストリート系である彼らが横町さんの伽バレッタな振り付けをよくこなしたものです。ふたりとも対照的なイメージがあって、萌えポイントとしては充分でした。前述したように私、マンガの「シグルイ」にハマってまして、ふたりの踊りを見ながら、頭の中で決闘シーンをオーバーラップさせたりしてさ、ずいぶんと楽しませていただきました。
 私は第一回目と同様、毎日、着物ドレスアップにてロビーでプロデューサーという名のご挨拶係をやっておりました。毎日とっかえひっかえしていた着物は、すべて野宮真貴関連のイベントでもお世話になっている小田章のもの。いやね、今回、あんまりにも忙しくて、自分の着物をセットアップする時間も体力もなかったので、小田章の専務に泣きついて揃えてもらったのです。小田章の内藤さんは私の好みや個性をよくわかっているのでほとんどお任せ。「ドレスアップしてきてください」とお誘いしているだけに、招く方も気合い入れないとマズイわけですね。まあ、歌舞伎役者の奥さんの役目ですから。ロビー回りは。というか、私は自分の姿が母親とダブって見えたよね。母親もよく父親のコンサートでそういう役回りを着物でやってたけれど、ドタバタしているんで、よく帯留めが取れていたりするのを、いろんな人が直していたんですが、今回も着付けをしてくれた如月まみさんがちょいちょい直してくれました。感謝。
 今回、二日目に開演前を利用して、ダイアモンドティアラのお披露目会をしたこともあって、いろんな方がお見えになって下さいました。
 ロバート・ハリスさん、クリス・ペプラーさん、ドン小西さん、フランソワーズ・モレシャンさん、山咲千里さん、YUKIさん、高見恭子さん、アナウンサーの阿部知代さん、辛酸なめ子ちゃん、工藤キキちゃん、イランイランの青柳さん、ケイタマルヤマさん、アンドモア、という強力メンツ。お花もユーミンさんをはじめとしていろいろな方からいただきましたが、やっぱりドンさん凄い。ドン小西って、こんな太い書体どこにあるのか、というほとんど大学紛争時の立てカンのような超ド級名札はカッコよすぎ! 名は体を表すっていうことです。
 スポンサーになっていただいた、カシケイブラウンダイヤモンドさんをはじめとして、ピーチ・ジョンさん、アルマクリエイションさんには本当に多大なご協力をいただきました。あらためて、お礼を申し上げるとともに、応援してくれた媒体のみなさま、お客様に感謝いたします。

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2008年4月3日木曜日

野宮真貴リサイタル前夜なのだ



本日は、スパイラルホールにて初のリハ。
 菊地成孔、岩谷俊和両陣営も揃って、まさに御前試合の様相でございます(と、先週末からの「シグルイ」の影響か、どうも思考が武士道なり)
 音も実際に劇場で鳴らすと響きが違うし、照明はもっと大変で初めて、プランではなく本当の光を当てることになるわけです。あっ、映像も一緒ですね。初めて、舞台に絵が浮かび上がる、という。
 しかしながら、本番って必ずやってくるものですよね。
 逆にずーっと稽古ばかりで、本番がないということはあるのだろうか? そのネタで不条理小説が書けそうな気がします。カフカみたいな、ある種の刑罰のような・・・。リハーサルばかりの人生。いや、人生はリハーサルだ、なんて寺山修司が言ってそう。あっ、それはサーカスか。
帰りに野宮さんとダンナさんと息子ちゃんとみんなで下のcayに言って軽飲み。
息子であるニキ君はまた背が伸びており、「シグルイ」を知っておりました。さすが、マンガ好きだけのことはある。
飲み中、メイクの富沢ノボルと話していて、急に「ヘアメイクマンガ」を思いついてしまいました。主人公はノボル少年で、ライバルの陰謀にあって憤死した父の復讐に燃える、炎のヘアメイク師。サブキャラとしては、ヒマラヤの山中で雪豹の毛を使った、究極のメイクブラシを作り続ける老師がおり、野宮さんはメイクの妖精で、ノボルのピンチの時、三回まで魔法を使えるという具合。レディコミ系には「ヘアメイクは見ていた」っていうんで、メイクの現場の愛欲図(そんなのあるのか?)を暴く、というのも出来ます。化粧品は今、科学最前線でもあるので、「美味しんぼ」型のうんちくでヴォーチェさん、いかがっすか、という感じです。
さて、明日は本番です。
舞台の神様がにっこり微笑んでくれることを祈ります。



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2008年4月2日水曜日

野宮真貴リサイタルまであと二日なのだ、が・・・・。



本日より、スパイラル劇場入りです。
大道具さんとか、取り付けのプロの人があっという間に舞台を組んでいきます。そうすると、あたりにふわーっと木の香りがするんですよね。材木屋さんの匂い。
ロビーに机を出して、チケットの配券だとかもろもろの打ち合わせと、おびただしい確認電話。
一年前と比べると自他共々格段に進歩があり、やっぱり経験は人を成長させるねえー。などと、大晦日のようなことを考えていたのですが、そういえば、これって、私における紅白歌合戦なのでは! それにしては美川憲一が多すぎる気も(笑)。ノミヤマキは今回、凄いドレス、着るしなぁ。
毎日、結構ツメツメなのですが、そういえば、この間の土曜日に家で仕事したくなくて、行きつけのマイマンガ喫茶ネットカフェである目黒アベルトに入ってみつげたのが、「シグルイ」という時代マンガ。これ、ひさびさにハマりました。残酷濃厚時代小説の大家、南條範夫先生の原作による剣豪ピカレスクなのですが、ざっくり言えば性格も容姿も対照的な美青年剣士が、ずたずたになって勝負するというドラマ。
 いやもう、出で来るキャラが濃くて濃くて、最後までシビレまくり。山田風太郎とタランティーノと聖マッスルを足して3で割ればこうなるっつーか。今回のリサイタルも、野宮+林+岩谷+菊池+横町という濃厚メンツだし、最近、どこを見渡してもそればかり。
画像ファイル "http://img05.shop-pro.jp/PA01015/142/product/4212970_o1.jpg" は壊れているため、表示できませんでした。
バランスを取るために、ひとり抜け出して、近くの「権兵衛」にて、かきとワカメのそばを注文。かぼすのスライスが入っていて、ちょっとタイの汁ソバ風でサッパリ。センスよし。
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