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2005年11月24日木曜日

フランス悪食日記その二


〜シャトー・ド・シャイイーのすんばらしいモッンラッシェ〜
 ホテルの朝食は旅の楽しみのひとつだが、ここ<ホテル・リュクサンブール>のそれも抜群に旨い。特にハムとチーズ、バターね。ハムは日本ならローマイヤー級のが当たり前に出る。バターにしてもフレッシュで、帰ったらマジでバターは手製にしようかとも思う。ちょっくら、リュクサンブール公園とサンジェルマン付近を散歩。裏道の小さい噴水でこの寒空の中、大量の鳩がまるで温泉に浸かるように水浴びをし続けていたのが不気味。
 
 チェックアウトしタクシーで早めのリヨン駅に到着。大伽藍の鉄製の教会のような駅は世界でも有数の美駅のひとつ。母は以前、ここでディジョン行きの一等当日券が買えなかったこともあって、ソワソワとカブトムシ度がマックスに達して、うるさいことこの上ない。だって、すでにチケットは日本で購入しているんだぜ。と、まあ、五日間有効のパスの所定手続きも終わり、駅カフェレストランにて、駅の雰囲気を楽しみながら、昼食。チーズとハムのサラダだけど、これまた駅カフェと思えぬ完成度。ザガット・サーベイの主宰者夫妻が日本に来たときに、駅の立ち食いそばに感動したのと裏腹なんでしょうね。

  列車では爆睡し、ディジョン駅ではyuyamaご一行様のパネルを持った、ホテルのお姉ちゃんがいて、一路、郊外の<シャトー・ド・シャイイー>に向かう。ちょうど、日没の時間で、フラットな農地の水平線の果てに半熟玉子の黄身のような太陽が落ちる。宿り木と糸杉、木々が違えば当然文化も違ってくる。 プイイーの街を過ぎてしばらく走ると。平野の中にドドーンと古城が見えてきた。あれが目指すシャトーだ。城門をくぐるとそこは馬が止まっていそうな広場があり、出迎えのホテルマネージャーとともにチェックイン。バスルームこそひとつだが、大変に素晴らしいお部屋。コンピューターに繋ぐLANもあって、デスクスペースも充実。と思いきや、かなり格闘したのだが(さすがにいろいろな仕組みを覚えた)、LANに繋がらない。夕食までに宿題仕事に取りかかる。

 ディナーに降りていくと、そこに日本人カップルが一組。今回、ワインの騎士を授かる大阪の岸本夫妻だ。一緒にテーブルを囲むことにして、ディナースタート。白のシャサール・モンラッシェを母が選び(どこでこういう知識を身につけたのか?)、赤はお土地柄ということでボーヌのビンテージを岸本さんがセレクト。どっちも100ユーロ前後の価格帯。さすが金持ちは違いますな。でも、日本で言ったらこの数倍はする値段だけに払う気にもなる。
 
 前菜はキノコのムース、主菜はウサギのシトロンソース、チーズ、デセールはパスという組み立て。お味のコメントは差し控えるが、味覚とセンス、コンセプトの実験室みたいになっているフランス料理の中では、かなり古くさい部類に入る。でも、キノコのムースはガンガンに香りが届くのはさすが。ワインはもちろん強力。モッラッシェは清らかに濃厚で、赤のボーヌはおとなしいんだがしぶとい感じ。夫を立てる花岡清州の妻のごとし。
 
 岸本夫妻はグルメらしく、寿司やグルメの話で盛り上がった。彼らはパリで、アラン・デュカスの<スプーン>に行ったのたが、あんまり、良くなかったらしい。部屋に帰って、宿題仕事を片付ける。日本でコレをやらないのは、家の中に本やらなにやら面白いモノが多い故、ということが判明。
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2005年11月21日月曜日

フランス悪食日記その一


〜パリのオデン屋ブイヤベースとブロン牡蛎の凄さ〜
10日前にウィーンからもどって、バタバタしていたら、
もう、フランス行きのその日になっちゃった。
 これは、久々にプライベート。といっても、今年71歳になる母の付き添い。目的は、ブルゴーニュで行われる、クロード・ブジョという”ワインの騎士”を任命する晩餐会に出席のためなんである。実はこれ、父親が何年か前にその栄誉に預かりまして(そんなにワイン詳しくないんだよね。文化人枠か)、親は何度となくそこに足を運んでいるのだが、今年は父が行けず、私にお鉢が回ってきたということです。考えてみれば、クラブやなんやらで、仕事で行くのは完全に大都市ばかり、もし、プライベートならばインドやヒッピー秘境に行きがちの自分としては、オーベルージュな旅、それも、老親と、というブルジョワーな経験は大歓迎。
 老親と娘のフランス旅行.....。キャサリン・ヘップバーンとキム・ベイジンジャー主演で映画化したいような設定でもあるが、心に悪魔を持つあの不思議な婆さんと、歳とともに分別をなくす方向で生きている私、しかも、お互いに「親子じゃなければ、絶対に友達にならない」と心の底で思っているふたりなので、結構、行く前は憂鬱だった。こっちと違って、母は暇のすべてを晩年の一大イベントにかけており、出発一週間前から毎日のように、電話があって面倒くさいことこの上ない。しかし、今回のフランスの暴動でビビっていると思ったら、それはそうでもないらしく、「養老院で衰弱死よりも、パリで爆死の方がカッコいい」だと。
 エアーは、ブリティッシュ・エアウェイズのビジネスの安い方を予約。安い方、と言ったのは、現在、ビジネスクラスは、フルフラットに移行しつていて、旧来のビジネスシートが今、こういう形に移行しているんですね。何せ、老親なんで、この辺は配慮。機内食はすべて、和食にしたが、このベントー系、いつも不思議に思うのだが、日本でつくっているのになんで味が、「アチラの東洋人経営のなんちゃって日本食屋」の味にバッチリ着地するんだろうか? 全世界マズ旨選手権のトップテンには入るだろう。ちなみにマズくて旨いもの2005年は、手前ミソながら、この間、野宮真貴インアゲハのVIPルーム用に自らがつくった、カツオのたたき藁薫製に決定。いやー、極上素材を燻しすぎちゃったんだけど、ちょっとヤバい落としどころの味で、ポール・マッカートニの娘に落書きされた、ラウシェンバーグって感じでしょうか。宇川直宏先生がソレに強く反応して、平らげてくれたのはさすがである。関係ないけど、イクラばっかりを食っていた高城剛といい、才人は珍味がお好き。
 
ホテルは、サンジェルマンデプレにある、プリティーな三つ星、<ホテル・リュクサンブール>。ささっと着替えて、さっそく、今夜のディナーである、モンパルナスの<ル・ドーム>をボーダフォン携帯から予約。いや、やっぱり、ケータイは国際対応にすべきですね。日本からのケータイメールも電話も入るし、ちょっと高いけれど、仕事やりかけのまま海外に出るときのストレスが全くないのが精神衛生上とってもいい。英語のわからないタクシーの運ちゃんに、直接、レストラン側と代わってもらって、道案内もしてもらえるし。
 <ル・ドーム>は直前まで原稿のやりとりをしていた、若手実力グルメライターの寺尾ちゃんに教えてもらったところで、魚に定評があり、直接、元は魚屋だったという、まるで、麻布十番の某居酒屋みたいなシステムらしい。道の角っこにドーンとあり、店頭には今が季節の牡蛎が魚屋みたいに並んでいて、ギャルソンが忙しく出入りして、それを厨房に運んでいる。ドアをあければ、そこは、パリお馴染みの、華やいだブラッセリーの世界。人気店らしく大入り満員で、フランス語の響きがわんわん響き渡って、この雰囲気だけは絶対に日本に招聘できない類のものだ。
 それでまあ、季節柄、ブロン産の生牡蛎を注文したんだが、こ・れ・が・ま・た、ヤバイぐらいに旨い。ブロンの牡蛎は日本でも食べれるが、生のこれはやっぱり招聘不可能なもののひとつ。寿司もそうだが、生ものネタは産地を直接いただくということになるわけで、たぶんこの貝の餌と環境は全く、日本の海と違うのだということがわかる。そして、相当塩がきいているんだが、その塩も抜群のバランス。体調的にはヘトヘトだったんだが、これ三発で完全復活。渡仏前に食べた、某有名イタリア料理店のランチが二日酔いをさらに悪化させたのとは真逆である。
 そして、真打ちブイヤベース登場。
 魚をスープからいったん出して、骨抜きにして皿に戻し、スープを卓上で温め、ぶっかけて食す、というスタイル。様々な魚の出汁がコンクになったスープはまずいわけはないのだが、この味を統合するのが、サフランと塩、そして、魚に付ける、ニンニクたっぷりのアイヨリソース。この配合がたぶんこの店の秘伝ということなんだろう。野菜はジャガイモの小さいのがふたつごろんと入っているのだが、実は最も旨いのがこのジャガイモというセンスは、オデンにおける大根の位置、であり、やっぱ、フランス野郎はそのあたりをよくわかっておる。酒飲み、ってことですな。
 ワインはブルゴーニュの、ああっ、うっかり名前を忘れた、ナントカ、ジュリエット、という、力強くて若い白。これも、もの凄く濃厚なスープから魚の味を引き出すのに大貢献している。
 デセールは、シトロンのソルベのウォッカがけ。 気が狂うほど甘いソルベにウォッカは、それまで料理に比べると、マズ旨大賞ノミネート系。ってことは、この店、バリバリ、パリのローカルなんでしょう。母ちゃんのウンチクによると、「フランス料理は一切砂糖を使わないため、デザートでその敵を討っている」ということらしい。なんだかなー。
 そういえば、母ですが、珍しいものに身を乗り出してキョロキョロ、フランス語を何年か習っているので、ギャルソンにいちいちしゃべりかけるので、うっとうしいことこの上なし。その様子がなんだか、昆虫みたいなので、「そのカブトムシみたいな、落ち着きのなさは止めなさい」といったら、「虫にたとえるとは何だ」と本気で怒っていた。でも、その身振りはなんだか、自分に似ているんだよね。飛行機の中では、タイムズ誌のウラ面に「すうどく」の数字パズルを見つけて、格闘していたし。誘うと絶対、ついてくるし。
 帰るなり、即寝。時差ボケのせいで、朝六時に起きてこれ、書いてます。
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2005年10月28日金曜日

築地場内買い付けバトル!

 あさっての<野宮真貴ブレゼンツパーティー@アゲハ>のために、久々の築地場内買い出しに行ってきた。昨日、原稿が終わらずホントに徹夜、寝たのは机の上突っ伏しのみという、受験生のような最悪のコンディションで挑む。しかしながら、やる気はマンマン。今回より、とうとう、赤酢使用に踏み切るからである。 
 今回はしみづで食べたイカが忘れられず、あかイカ、購入。そして、ななんと、マグロは大間! 行きつけのマグロ屋さんが、ちょっと考えられないサービスをしてくれちゃいました。あさってくる人は、マグロはマル必だぜ。回転寿司の美味しさとは別格の味を必ずクラバーたちにお届けするぜ! 
 あとは、カツオを一匹。これも今回、たたきスモークに挑む所存。
 はっきり言って、バレエ初心者が32回転をキメようとするがごとくの仕業であるが、案外、回れちゃったりして。その確立は高いと見た。
 包丁もギラギラに研ぎ終わり、今から寝るぞー。
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2005年10月25日火曜日

寿司処しみづにてひとり寿司


 日曜日、ふと思い立って、新橋の名店「しみづ」にひとり寿司決行。
 店主は三十代中盤で「あら輝」「さわ田」などと同様のアンファン・テリブル名人のひとり。
突き出しになぜか、なすの煮染めが出、これが結構なんと言うことはない味。つまみの鯛も
ちょっと肉厚すぎ、煮だこもなぁ、と思った矢先、出た! 剛速球のもどりがつおのたたき、藁スモークが。以降、ミル貝、またまた、とてつもない、いかげそ(あんまり旨いんで、ここから主人とのコミュニケーションがはじまった)と続き、しめさばもヤバかったけど、ほとんど天変地異に近い程のイカの塩辛が出る。(塩辛に関しては長きに渡って、一過言ある私をして、たぶん今まででナンバーワン。あまりに旨いんで、残ったワタを日本酒でといてのみほしちゃった)
 旨かったつまみは全部また握りにてリフレイン。
 すると、先ほどのしめさばがぐっと甘みを増したり、またまた、酢飯とのマッチングからどんどん違う旨味が引き出されてきて、なんだか、こういうのって、好きな男の違う表情をベッドで見るよーな、見ないよーな・・・・・。
 客も凄かったね。私のほかには三団体。ツーカップルと、男ひとりに女ふたりの逆ドリカムが一組。みんな寿司のウンチクがタダものではない。金と才覚とイヤミが加わった三大悪弾正って感じ。弾正のひとりはデカンタで赤ワインを飲んでましたが、私がかつて六本木ヒルズクラブで遭遇した、IT若造社長の白ワイン+寿司のヤワさに比べたら、朝ごはんにさえ、赤ワインをかけて茶漬けにしてそうな剛の者。隣に座った弾正その二は、高田文夫似で、私にお酒を恵んでくれたいい人だったけど・・・・・。
  24時間経った今でも、はっきりとその旨味の輪郭が残っているわけで、それはホントに凄いことだと思う。だって、かつおやサバやイカなんて、私たち死ぬほどたべてきているんだからさ。
 しかし、今にして思えば、最初のなす→鯛→タコはなんだったんだろう。
 もしかして、テストのひとつであれを「うまーい」なんていう客を三人悪弾正が、
お白州吟味するネタだったのでは。
 としか思えん。 
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2005年10月2日日曜日

ヘアスタイル問題

美容院のboyに行ってきた。
ド・カーリーヘアにするべく伸ばしているのだが、久しぶりのロングも新鮮でカーリー計画は来年になるかも。しかし、ロングこそこまめなカットが必要。伸ばしっぱなしのロングはなんか見た目にダサいんですよ。あか抜けるとはロングの人がこまめに美容院に行くことと見つけたり。
そういえば、昨晩久しぶりにテレビを見入っていたら、ギャラクシー大賞を取ったとある田舎の中学校の吹奏楽部のドキュメンタリーをやっていた。青森の中学生たちはがんばったんだけど、結局、本選にはでられなかった、というやつ。まあ、良くある素朴で善良な中学生日記ってヤツですが、私は部員である女子中学生たちのヘアを見逃さなかったね! みーんな一律に、ザン切りのマッシュルームの出来損ないみたいな直毛ヘア。先生は必死に「ミス・サイゴン」の楽曲の情感を教え込もうと叱咤するんだけど、(ちなみにこの作曲者って、よりによってシェーンベルクなんですわ)叱咤の前に、生徒たちに音楽を演奏するに値する美意識と感性を取り戻さしてやった方がいいんじゃないの? とかなり本気で腹をたててしまった。だって、この生徒たち、先生の指導にまるで軍隊みたいに「ハイッ、ハイッ」て答えるんだよ。私はクラシックやアートが教育に取り入れられるときのこの、気持ち悪さがとてつもなく嫌い。
番組では優勝した大阪の高校も取り上げているんだけど、こちらの方は生徒たちの技量に任せた完全なオーディション形式を採用している徹底した個人主義。パート練習は「仲間どうしなれ合いになるから」という理由でやっていない。まあ、こっちの方がましだよね。でも、その先にコンテスト優勝というなんだか、甲子園システムがあるんで一概に良いとは言えないんだけどね。
ああ、ヘアスタイルからなんかヘンな方向に行っちゃった。
でも、髪型は最も本人の思想を体現するところなんで、みなさん、心してかかりましょう。
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和食の難しさ


 昨日は青山にある某和食屋に行ってきた。
某有名ホテルの板長が独立して開いたお店に行ってびっくり。なななんと、周さんがこの間までやっていたお店の居抜きじゃないか! 周さんとは美人寿司に先駆けて、クラブで寿司を握っていた大先輩のオヤジだが、恵比寿食堂を止めて、青山の店を任されて、そのあとどこ行っちゃったんだろう。
 ともあれ、完全な一流和食屋に変わったそこの感想は、大変によろしかった。うるかはよく知っていたが、ここのヤツは鮎の内臓ではなく白子に卵巣のそれ、で、粘りがあってとてつもなく美味しい。
 高い店に食べに行くのは、なにも、単に美味しいだけじゃなくて、そこに何らかの突出がなければダメなんだと思うが、
これって、和食フィールドでは至難の業。なぜなら、私たちは生まれたときから和食を食べ続けていろんな味を知り尽くしている相当な和食グルメだからだ。それでもって、この店はそれ以上のことをやってのけている。朴歯で包んで、まるで現代美術みたいにしてサーブされる、鯖みそは、確かに鯖みそなのだが、それが数段洗練されているという具合。
 満足して帰ったのだが、連れのヤツがラーメンが食べたいと言い出して、それを抗えない欲深の私。
   香月は塩が旨かった。
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